水稲直播に朗報

 
     
  カラスマイッタを使用しない直播水田    カラスマイッタを使用した直播水田
 

  『カラスマイッタ』(Bird Repellent Tool)の直播田における実証試験
富山県立大学客員教授・
'地域連携センターアドバイザー
   葭田隆治 

 近年、水稲の省力栽培推進の観点から、直播栽培法が普及しつつある。
しかし、播種直後から出芽、苗立ち期にかけて『からす』の集中食害が激しく、移植への転換をせまられる場合も多くある。現在のところ、この『からす』の被害回避については有効な方法がなく、農家の悩みの一つにもなっている。
そこで、本研究では、直播田における『からす』の食害を軽減する目的から、特許製品である『カラスマイッタ』の効果試験を実施した。

1.材料と方法
 1)試験期間:平成19年5月1日から6月30目の2ヶ月間とした。
 2)試験場所:小矢部市赤倉地内直播田。
  直播は、品種コシヒカリを用い、点播方式で直播した。
  対象面積は、10haとした。

 3)耕種条件:コシヒカリ直播栽培は慣行法によった。

2.締果と考察
 赤倉地内の直播田は、対照的に隣接する和沢地内の直播田と比較することとした。
赤倉地内では、直播対象面積は団地化しているため、原則として40a当り2本('田の上部と下部)を目安に、
『カラスマイッタ』を設置した。
当然のことながら、和沢地内の直播田(対象面積12ha)には『カラスマイッタ』は設置されていない。
両直播田を比較したところ、『カラスマイッタ』を設置した赤倉地内の直播田の『からす』の食害被害は極めて軽微であり、
とくに栽培上株数不足などで問題になることはなかった。
しかし、対照とした『カラスマイッタ』無設置の和沢地区では『からす』の食害が激しく、株数も大幅に減少することとなり、
移植への転換が避けられない状況となった。
その面積は、約2.4haに一もなった。以上、直播田における『カラスマイッタ』設置の効果は、
『からす』を忌避し直播田の苗立歩合や株数確保の向上に極めて高いことが明らかになった。
なお、写真に示す通り、
写真 上左は対照とした和沢地区における『からす』の食害により大幅に株数が不足した直播田であり、
写真 上右は『カラスマイッタ』を設置した赤倉地内における『からす』の食害が極めて軽微な直播田である。
今後、富山県特産のナシ園や食用トウモロコシのカラスの食害忌避に如何なる効果を示すかについて実証を進める必要がある。